貿易戦争 2018 6 10

「すべての敵対者を追い払うな。
むしろ、二、三人は残しておけ。
そうすれば、すべての敵から解放されたあとでも、
内輪争いを始めないですむ。」(プルタルコス)

書名 米中貿易戦争
著者 渡邉 哲也  徳間書店

 評論家やメディアによっては、
「トランプ政権は、思いつきで政策を発表する」と批判する場合がありますが、
これは、トランプ氏の「個性」によって、唐突感を醸し出しているだけで、
実は、作戦を十分に練り上げてから発表しているかもしれません。
「二の矢」、「三の矢」が飛んでくるかもしれません。
 著者は、こう指摘しています。
かつて、冷戦時代、
西側諸国と共産圏の間には、大きな技術的な壁があった。
 その主因となったのは、
ココム(対共産圏輸出統制員会)規制だった。
 これは、軍事的に転用できる技術や物品に輸出規制をかけることで、
西側の技術が、東側に漏れることを防ぐためのものである。
 アメリカの次の戦略として、
この「ココム」に該当するような新しい貿易規制をかけてくることが考えられる。
 アメリカが中国との貿易を規制するために使用しているキーワードは、
「安全保障」と「知的財産権」だ。
 なぜ、「安全保障」が貿易規制の理由になるかと言えば、
世界貿易機関(WTO)ルールの21条に、
「自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要であると認める措置を
取ることができる」とされているからだ。
(引用、以上)
 これからは、貿易で稼ぐという方式は、無理でしょう。
世界各国は、内需主導型の経済に転換すべきでしょう。
 実は、アメリカには、「借金文化」という特殊な文化があります。
「借金をしてでも消費(浪費)をする」という文化です。
 これは、日本とは正反対の文化です。
日本では、かつてバブル経済で絶好調の時ですら、
「節約の本」が売れていました。
 アメリカ人に言わせれば、
「貯金は、そんなに楽しいのか」というところでしょう。
 話がそれました。
問題は、借金に限度があるということです。
さすがのアメリカでも、無制限に借金ができるわけではなく、
借金には上限があるということです。
 そういうわけなので、
アメリカに資金を貸すか、
世界各国は内需主導型の経済に転換するか、
二者択一かもしれません。
貿易戦争の裏側には、このような問題が潜んでいます。

THE OVERSPENT AMERICAN 2008 2 3

「浪費するアメリカ人 なぜ要らないものまで欲しがるか」
著者 ジュリエット B.ショア  岩波書店
THE OVERSPENT AMERICAN
Why We Want What We Don't Need
by Juliet B. Schor

 どうしてアメリカ人は、そんなに消費(浪費)するのか。
しかも、借金をしてまで消費するのか、その理由がわからなかったのです。
 確かに、買い物は、ストレス解消になります。
しかし、それが借金をしてまで買い物をする理由になるか、疑問を感じていたのです。
 この本を読めば、そういう疑問が解決するでしょう。
たとえば、このようなことが書いてあります。
「中流階級のアメリカ人は、まるで明日はないかのように消費している。
にもかかわらず、消費が増えるほど、ますます満たされない思いが強まる。
 現代社会では、商品は、ある種のコミュニケーションの手段であり、
人びとは何を持ち、何を身につけているかで、
自己のアイデンティティと社会的ステータスを表現しようとする」

 ここ数年の世界同時好況は、借金漬けのアメリカ人による浪費の「お陰」です。
こうした消費活動(借金文化)が、持続可能なものではない上に、
このような消費活動に依存する世界経済が、持続可能なものではありません。
どう見ても、不健全な「消費活動」と、不健全な「世界同時好況」でしょう。












































































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